研究課題/領域番号 |
10557065
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
武田 伸一 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子工学研究部, 室長 (90171644)
|
研究分担者 |
宮越 友子 国立精神, 神経センター・神経研究所・遺伝子工学研究部, 研究員
花岡 和則 北里大学, 理学部・分子発生, 教授 (40189577)
埜中 征哉 国立精神, 神経センター・神経研究所・微細構造研究部, 部長 (80040210)
|
キーワード | ラミニン / メロシン / 先天性筋ジストロフィー / dy3Kマウス / myosin IIB chain / ノックアウトマウス / alphaジストログリカン / インテグリン |
研究概要 |
骨格筋の基底膜は、主としてラミニン、コラーゲンtype4などから構成されるが、そのうちラミニンはalpha2、beta1、gamma1の3chainからなるheterotrimerの形を取り、メロシン(あるいはラミニン2)と呼ばれてきた。欧米で多いメロシン欠損型の先天性筋ジストロフィーではalpha 2 chain遺伝子に異常が見出されている。従って我々が作製したラミニンalpha 2 chainの発現を完全に欠損したマウス(FEBS Letters 415:33-39,1997)は、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィーのよいモデルであると考えられる。最近、ラミニンには2種類のレセプターがあることが指摘されている。一つは、ジストロフィン軸あるいはユートロフィン軸につながるalphaジストログリカンであり、もう一つは、インテグリン複合体alpha7/beta IDである。ラミニンalpha2chainの異常が、シグナル伝達機構との関連で、alphaジストログリカン及びインテグリン複合体のどちらと関連が深いのかは明らかではないが、ラミニンalpha2chainの異常の病態では、alphaジストログリカンやジストロフィンの発現が保たれるのに対し、インテグリン複合体alpha7/beta1Dの発現は減少するとされている。そこで、dy3Kマウスの骨格筋を詳細に観察すると、生後比較的早期から筋変性を生ずるが、myosin IIB chainの発現が始まる時期に一致している。そこで、特に筋変性を生じないmyosin IIB chain遺伝子のノックアウトマウスとdy3Kマウスを交配して、その筋変性とmyosin IIB chainの発現が本質的に関わるかどうか検証することを試みた。米国のコロラド大学のLeinwand教授と共同で交配実験を行ったところ、大変驚いたことに、double knock out mouseは外見上、dy3Kマウスと変わらぬ筋変性を示した。今後は、double knock out mouseの経過を詳細に検討することで、alphaジストログリカン及びインテグリン複合体の二つの経路の内、どちらの経路が影響を受けているのか検討したい。また、メロシン欠損による病態と同じく、myosin IIB chainが発現してぃるfast fiberが障害されやすいジストロフィン欠損による病態に対しても、ジストロフィン欠損によるmdxマウスとmyosin IIBchain遺伝子のノックアウトマウスを交配して、その表現型の詳細な解析を行いたいと考えている。
|