研究概要 |
1.犬を用いた動物実験より,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)吸着酸性ゼラチン粒子の心筋内投与は虚血心筋への血管新生を持続的に促進し,冠側副血行循環を介する虚血部心筋血流を著,明に増加させることが判明した。事実,ヒトでのaFGFによる虚血性心疾患に対する血管新生療法も開始され,有用性が報告されている。bFGFの遺伝子での冠疾患に対する血管新生療法も近い将来実現するであろう。2.労作性狭心症患者に体外式カウンターパルゼーション(ECP)を30分間,計20回実施することによって冠側副血行血流が増加し労作時の虚血が改善することがアンモニアPETでの虚血部局所心筋血流量の測定により判明した。現在,ヘパリン5,000単位前投与下でのECPの効果を検討中である。3.ヘパリン運動療法は労作性狭心症のみでなく、閉塞性動脈硬化症による間欠性跋行にも有用であることが判明した。高脂血症を合併する患者に対してはLDLアフェレーシス療法と運動療法の組み合わせが側副血行血管を発達させるものと期待して研究を進めている。4.ヘパリン前投与下での心臓リハビリテーションが狭心症患者の虚血寛解に有用であることが報告されている。低分子ヘパリン前投与下でのスポーツリハビリテーションプログラムが冠側副血行血管を発達させ狭心症患者の心筋虚血を軽減するかを検討する臨床トライアルを開始した。まとめPTCA,CABGは冠病変が高度に進行した症例では適応とならないので,血管新生療法の開発,確立には冠疾患患者のQOLと生命予後を改善する上で大きな意義が存在するものと思われる。
|