研究課題/領域番号 |
10557073
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岡 直樹 久留米大学, 医学部, 助手 (00299421)
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研究分担者 |
菊池 俊夫 久留米大学, 医学部, 助手 (20289432)
中浦 宏幸 久留米大学, 医学部, 助手 (50279171)
岩見 元照 久留米大学, 医学部, 講師 (90203405)
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キーワード | 肥大型心筋症 / 遺伝子変異 / トロポニンT / スキンドファイバー / Ca^<2+>感受性 / 最大張力 |
研究概要 |
1)トロポニンT遺伝子(TnT)異常肥大型心筋症動物モデルの作製およびその機能的検討:マウスTnT遺伝子異常モデルの作製はTardiffらによりすでに1998年に作成されてしまい、1999年にはヒト心筋症に類似し、心機能は拡張障害を主とする事が発表された。さらにMarianらはdominant-negative effectであることを証明している。このため前年度からのテーマである2)ヒトTnT変異蛋白機能検討を中心に検討した。ヒト心筋トロポニンT cDNAのクローニングを行い、TnT変異遺伝子(Intron15の二つの変異、Phe110Ile,Glu244Asp,Arg278Cysの3つのミスセンス変異)を作製し、変異TnTの生理学的検討を心筋レベルで解析した。ヒトTnT cDNAは、RT-PCR法を用いてクローニングし、上記の変異はPCRでcDNAに挿入した。変異TnTは大腸菌にて過剰発現させた後、ウサギ・スキンドファイバーに組み込み、生理学的機能解析を行った。野生型TnTと比較して、ミスセンス変異では協同性に変化はなかったが、intron15の二つの変異では協同性が低下していた。Glu244Aspでは、Ca^<2+>感受性、最大張力は共に亢進しており、Arg278CysではCa^<2+>感受性の亢進を認めたものの、最大張力は不変であった。Intron15の二つの変異ではCa^<2+>感受性の亢進を認め、最大張力は一方でのみ、わずかに減少していた。またPhe110IIe変異では、著明に最大張力が増大していたが、Ca^<2+>感受性収縮には影響せず、同一遺伝子内での異常でも、変異部位により収縮力とCa^<2+>感受性に相違を認めた。これらの結果から、トロポニンT遺伝子異常肥大型心筋症では収縮力低下による代償性肥大が、異常肥大の原因ではないものと推測された。
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