研究概要 |
既知遺伝子変異(多型を含む)の検出は遺伝病の遺伝子診断ばかりでなく、家族性腫瘍やCommon Diseaseの危険因子の検出、さらには個人識別などの法医鑑定上でも極めて有用な手段となっている。本研究は既知小変異を迅速に精度よく検査するための自動既知変異検出システムを確立することにある。本年はMultiplex primer extension法を検討した。方法は先ず、変異塩基を含む断片をPCRで増幅し、プライマーおよびdNTPを除いて鋳型とした。変異塩基の隣接塩基3'端とするExtensionプライマーを設計し、それと精製PCR産物、蛍光-ddNTP,Sequenaseの反応系でExtension反応を行い、精製後、ABI PRISM310でGeneScanソフトウエアーを用いて解析した。本法はExtinsionプライマーの長さを変えることによって、同時に数種類の変異を同定することが可能であった。今回作製した変異検出セットは日本人に多い変異を中心に次の7セットである。(1)フェニルケトン尿症1(R241C,R252W,T278I,R243Q)、(2)フェニルケトン尿症2(R111X,IVS4,R413P,P407S)、(3)糖原病1a型(R83H,g727t,R170X)、(4)糖原病1b型(W118R,IVS1+1g→a)、(5)ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症(L237P,delG1067,R508W,V550M,InsA942)、(6)Tay-Sachs病(IVS5-1g→a)、(7)軟骨無形成症(G380R)。本法はほとんどの既知の一塩基置換、一塩基欠失、一塩基挿入変異が検出可能であり、多くの疾患を対象として広く用いうる方法である。
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