研究課題/領域番号 |
10557078
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
桃井 真里子 自治医科大学, 医学部, 教授 (90166348)
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研究分担者 |
中村 美樹 自治医科大学, 医学部, 助手 (20296114)
野崎 靖之 自治医科大学, 医学部, 助手 (90281295)
津留 智彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (90296111)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 筋強直性ジストロフィー症 / トリプレットリピート疾患 / 片麻痺性片頭痛 / 脊髄小脳失調症 / 遅発性小脳失調症 / カスパーゼ8 / カスパーゼ12 |
研究概要 |
筋強直性ジストロフィー(DM)は、トリプレットリピート延長疾患の一つであり、原因遺伝子は判明したが、その進行性変性にいたる病態は明らかにされていない。本研究では、以下の点につき、新たな知見を付け加えた。 1.DMPK遺伝子のトリプレットリピート配列延長のない母子例において、DMPKの全exon塩基配列を検索し、塩基置換、欠失のないことを明らかにした。さらに、DMと同様の症状でDM2と区分される疾患の原因遺伝子であるzinc finger protein9遺伝子のCCTG配列の異常延長も存在しないことを明らかにした。これにより、DMはより多数の原因遺伝子がある疾患であり、DM辺縁疾患の原因遺伝子、病態は従来かんがえられているより、多彩であることを示唆した。 2.DMと同様にトリプレットリピート配列異常延長に起因する疾患であるDRPLAの分子細胞病理を解析する目的で、ポリグルタミンによる細胞死におけるcaspase-8,12の活性化を、特異的抗体を用いて培養細胞において解析した。ポリグルタミン蓄積はERストレスを惹起し、caspase-12の活性化と関連することを初めて示した。 3.筋強直性ジストロフィー症における筋細胞の緩除進行性変性壊死の分子細胞病理を明らかにする目的で、ラミニンα2欠損マウスの筋細胞におけるcaspaseの活性化を解析した。その結果、筋細胞は明らかにvaspase-3の活性化を示し、進行性筋疾患におけるアポトーシスの存在を初めて示した。これらの知見は、緩徐進行性筋疾患には、caspase関与のアポトーシスの存在があり、その阻止により、進行の阻止、または、病勢の緩和が可能なことを示唆した。 4.遅発性小脳失調の1家系において、CACNA1A遺伝子に、トリプレットリピート配列異常の延長ではなく、ミスセンス変異を検出した。このことは、トリプレットリピート配列伸展疾患の代表的病態である脊髄小脳失調において、ポリグルタミンの蓄積以外の分子病態が関与していることを示唆し、細胞内の分子病態を考慮する上で重要な知見である。
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