研究概要 |
本年度は三次元培養皮膚の臨床応用とアデノウィルスベクターを用いた遺伝子導入法の検討を行った。 1.三次元培養皮膚の大量培養法:直径75mmのトランスウェルを用いて三次元培養皮膚を作成したところ、実際には直径65mmの三次元培養皮膚が作成可能であった。角化細胞の播種、液相下培養では既存の培養器具で十分であったが、空気曝露で重層化させるためには既存の培養器具が存在しなかったため、直径150mmのガラス製シャーレとステンレス製の支持プレートを作成し使用したところ、三次元培養皮膚の大量作成が可能であった。 2.三次元培養皮膚へのアデノウィルスベクターを用いた遺伝子導入:2種類のアデノウィルスベクター(AdexHB-EGF,AdexGFP)を用いた。本年度は完成された三次元培養皮膚の表皮と真皮の間にAdexHB-EGF,AdexGFP液を注入した。経時的に組織を採取し、HB-EGF,GFPの発現をみたところ、感染後2日目には表皮にHB-EGF,GFPの発現が認められた。遺伝子の発現はほぼ全層にわたり発現が認められ、基底層にも十分の発現が認められた。HB-EGFを導入した三次元培養皮膚のほうがGFP導入の三次元培養皮膚より表皮の構築が保たれている印象を受けた。
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