研究概要 |
1) 症例の集積、臨床的検討 症例を,道化師様魚鱗癬、非水疱型魚鱗癬様紅皮症、葉状魚鱗癬、魚鱗癬症候群等の各病型に分け、集積した.各家系の発端者のみならず,家系内の同症を示す者,および,健常者についても,データを集積した.臨床的検討は,コロジオン児としての出生の有無,新生児期の眼瞼外反,口唇の突出開口,全身の紅潮の程度,鱗屑の厚さ,色調,大きさなど,細かく観察した. 2) 電顕レベルでの微細構造の検討 患者皮膚生検より電顕用標本を作製、特に、cornified cell envelope、層版顆粒等の変化に注目して観察した。 3) 光顕レベルでの免疫組織学的な検討 患者皮膚生検検体から凍結切片を作製、各種ケラチン、フィラグリン、cornified cell envelope前駆蛋白等につき、免疫蛍光抗体法を施行、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。 4) 免疫電顕での患者皮膚の検討 光顕レベルでの免疫組織学的検索にて、異常の認められた分子について、その分布異常をさらに超微形態学的に検討した。具体的には、患者皮膚生検組織を液体プロパンを用いて超低温にて凍結固定、アセトンにて凍結置換後、Lowicryl K11M樹脂中に包埋、超薄切片を作製、immunogold-silver enhancement法にて免疫染色を施行、金コロイドの分布を定量的に解析した。 5) 各家系ごとの分子遺伝学的検索 患者家系内の発症者、健常者の末梢血からDNAを抽出した。原因分子である可能性の高いcornified cell envelope前駆蛋白、トランスグルタミナーゼ等の遺伝子については、PCR法を用いて増幅後、heteroduplex法等を用いてmutationの有無を検索した。 以上、1)-5)のデータを総合し、各病型、各家系ごとに原因遺伝子を推測した。
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