研究課題/領域番号 |
10557083
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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研究分担者 |
山本 明史 国立がんセンター, 中央病院, 医長(研究職)
斎田 俊明 信州大学, 医学部, 教授 (10010381)
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
鈴木 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
池田 英之 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (40301494)
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キーワード | 腫瘍抗原 / T細胞 / メラノーマ / メラノソーム蛋白 / チロシナーゼ / gp100 / cDNA発現クローニング / HLA |
研究概要 |
123人のメラノーマ患者の腫瘍浸潤リンパ球から培養したT細胞の抗原認識特異性を、メラノーマ細胞株パネルと既知メラノーマ抗原の認識を調べることにより検討した。そして新しい癌抗原・エピトープを認識する可能性のあるT細胞を選択し、そのHLA拘束性を明らかにした。そのうちHLA-A1,-A2,-A3拘束性T細胞を用いてcDNA発現クローニング法により、メラノーマ抗原をコードするcDNAを単離した。次に4つのCTLに認識される新しいメラノーマ抗原エピトープ (HLA-A1結合チロシナーゼペプチド1個、HLA-A2結合gp100ペプチド2個、HLA-A3結合gp100ペプチド1個)を同定した。HLA-A2結合gp100抗原エピトープの一つは2つのシステインを含み、各種アミノ酸の置換実験により、システインをα-ブチル酸などの酸化されないアミノ酸に替えることによりT細胞による認識が高まった。システイン含有エピトープ合成ペプチドを免疫療法に用いる場合には修飾ペプチドを合成して使用した方がよい可能性が示唆された。これらの新しく同定したメラノーマエピトープは今後HLA-A1,-A2,一A3をもつメラノーマ患者に対するベプチド免疫療法に使用できる可能性がある。また別の2つのメラノーマ反応性CTLを用いて2つの新規メラノーマ抗原遺伝子を単離した。そのうちの一つはEST遺伝子データベースにも登録されていない新規遺伝子であり、そのT細胞エピトープは癌細胞にしか存在しない突然変異に由来する腫瘍特異的ペプチドであることを明らかにした。今までに同定された変異抗原分子は癌の生成に重要な役割をもつ分子である場合が多いことが判明しているので、次年度は今回単離した変異分子の癌形成における役割を追究する。またもう一つの単離した新規癌抗原分子の詳細な解析を進める予定である。
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