1.MR内視鏡(MRE)の撮像を1.5-Tの臨床用MR装置と4.7-Tの実験用MR装置を用いておこなった。ネットワークアナライザーを用い、表面コイルとQDコイルを含むRFコイルを設計および試作した。各々のRFコイルについてファントムを用いた撮像実験をおこなった。スピンエコー法、高速スピンエコー法、グラディエントエコー法および高速グラディエントエコー法によるMREを施行することにより、各RFコイルの空間分解能、コントラスト分解能および時間分解能を検討した。 2.実験動物を用いた撮像実験をおこなった。ファントム実験で得られた結果を参考にしながら、実験動物の臓器についてスピンエコー法、高速スピンエコー法、グラディエントエコー法および高速グラディエントエコー法によるMREを施行し、各臓器ごとに最適なMRE像の得られるパルス系列、TR、TE、フリップ角、FOVおよびマトリックスサイズを検討した。 3.手術や剖検によって摘出された人体の臓器を用いて、上記と同様のMREの撮像を施行し、MREによる病理組織学的なレベルでの病変の描出能を検討した。消化管の悪性腫瘍については病理組織学的な壁深達度や病期診断などに関するMREの診断能を検討した。MREは胃壁と食道壁の層構造を明瞭に分離して描出できることを明らかにした。さらに、MREによって診断した胃癌と食道癌の壁深達度は病理組織学的な壁深達度とよく一致することを明らかにした。MREは食道癌と胃癌の病期診断において高い診断脳を示し、術前における病理組織学的病期診断を可能とする方法であることを証明した。 4.現在はこれらの実験結果を参考にしながら、ボランティアや様々な疾患の症例に対してMREを施行している。今後とも、新たなMREの方法を研究開発するとともに、全身の各臓器ごとにMREの最適な撮像条件を検討していく予定である。
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