研究概要 |
Annexinとは、従来、各研究グループによって色々と命名されていたCa^<2+>依存性膜結合蛋白質の呼称の混乱をさけるため、Crumpton及びDedman(Nature,345,212(1990))によって提唱され、一次構造の差異からAnnexin-1〜-XIIIまで分類される。なかでも申請者らがヒト胎盤から分離したAnnexin-Vは最も強い抗凝固作用を示し、発現量も最も多かった。本研究では、このAnnexin-V及びその作用部位ペプチドと推定されるSer-His-Leu-Arg-Lys-ValやAsp-His-The-Leu-Ile-Arg及びその誘導体などのもつin vitroでの抗凝固作用、in vivoでの塞栓防御作用を利用し、抗血栓剤としてより効果的に応用するため、これらをリポソームに封入して作用の持続性を高め、化学及血清療法研究所(化血研)と共同して新しいタイプの塞栓防御剤の開発を試みることを目的とし、本年度中に次の事が明らかになった。 1. Annexin-VのDNAを遺伝子工学的に酵母菌を含む中で培養し、この培養液からAnnexin-Vを分離した。 2. Annexin-Vの作用部位を含むドメイン(70アミノ酸残基)を同様にして培養し、発現に成功した。 3. 肺塞栓モデルマウスに対するAnnexin-Vの抗血栓作用、延命効果及び副作用の有無などを検討した。 4. Annexin-Vの抗凝固作用部位ペプチド及びその誘導体を化学的に合成し,それらの抗血栓作用、延命効果副作用の有無等を検討し、3.の結果と比較検討する。 5. Annexin-V及び抗凝固ペプチドをリポソームに封入して生体内での持続性を高め、その抗凝固、抗血栓作用、延命効果、副作用の有無等を検討した。 6. 抗Annexin-Vモノクローナル抗体を用いてAnnexin-Vの生体内分布及び細胞内局在を調べるとともに投与したAnnexin-V及びペプチドの生体内動態を検討する。
|