研究概要 |
ヒト遺伝子組換え型SCGFの調製に先立って処理すべきいくつかの問題点を検討し解決した。1. ヒト全長型SCGF遺伝子:ヒト骨髄polyA^+RNAに対し、SCGFのN/C末端部合成DNAプライマーを用いてRT-PCRを行った。クローン化した増輻cDNAは従来のSCGFに78アミノ酸が付加した969塩基;323アミノ酸からなり、前者をSCGF-α、後者をSCGF-βと命名した。 2. 他哺乳動物のSCGF遺伝子:マウス頭蓋冠ストローマ細胞株MC3T3-G2/PA6およびラット骨肉腫細胞株ROS-17/2.8-5から調製したcDNAライブラリーに対しRT-PCRにより増幅したcDNAをクローン化した。各々のSCGF遺伝子は1,399塩基/984塩基;328アミノ酸からなり、ヒトSCGF-αと90.4%の相同性を示した。 3. SCGF分子の特徴:SCGFアミノ酸配列に対し遺伝子データベースからモチーフ検索を行ったところ、Ca^<2+>依存性糖認識領域を認めSCGFはC型レクチンの一員である事が判明した。この他、酸性領域、糖鎖O結合PST領域、ロイシンジッパー領域を認めた。 4. SCGFmRNAの組織発現:Northem解析の結果、SCGF遺伝子発現は骨髄を筆頭に、牌、虫垂、胸腺、胎児肝には高いが末梢血白血球には低く、SCGFの造血関連遺伝子としての意義が示唆された。 5. SCGFの染色体遺伝子座:FISH解析によりヒトおよびマウスSCGF遺伝子は各々19q13.3、7B3-B5に同定された。同部位はflt3リガンド、IL-11などの早期作用造血因子遺伝子の集積部位であり興味深い。 以上の他、抗SCGF抗体の作製やヒト、マウスSCGF遺伝子の動物細胞/大腸苗における安定発現の下準備も実施しているが、その経過ならびに成果については次年度以降に報告する。
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