研究課題/領域番号 |
10557094
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
平岡 篤信 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (00159112)
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研究分担者 |
杉本 整治 協和発酵工業(株), 東京研究所, 主任研究員
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キーワード | SCGF / stem cell growth factor / 造血幹細胞増殖因子 / 遺伝子組み換え / 活性 / CD34 / 受容体 / 抗体 |
研究概要 |
精製遺伝子組換え型ヒトおよびマウス造血幹細胞増殖因子(stem cell growth factor; SCGF)の安定的な調製法の開発に取り組んだ。SCGF遺伝子で組換えたCHO細胞から分泌されるSCGFほは一部会合体やアミノ酸欠失体の混在が問題視されたが、培養法の工夫改善やタンパク分解酵素阻害剤の使用により克服することが出来た。最終的にmgオーダーの精製SCGFを効率よく大量調製し回収する方法を確立した。ヒト遺伝子組換え型SCGF純品について得られた各ロット毎にその生物活性を検討したところ、標的細胞としてヒト骨髄由来CD34+Lin-細胞に対して用量依存性に赤芽球バースト増強活性(BPA)並びに穎粒球マクロファージコロニー増強活性(GPA)を示した。10種を越える各ロット間の生物活性のばらつきは殆どなく、SCGF調製法の妥当性が確認された。一方、マウス遺伝子組換え型SCGFの上述ヒトCD34+Lin-細胞に対するBPA/GPAは陽性/陰性相半ばする結果となり、マウスSCGFの種交叉生物活性に関する最終結論については今しばらく慎重に配慮すべきだと思われる。 SCGF受容体の同定へ向けて尽力した。蛍光あるいは放射標識がSCGFの造血活性に障害を及ぼさない事を確認した上で、未熟な造血幹細胞などに発現されている既存の膜表面タンパク質との結合反応を検討したが、一定の傾向を得るまでには至らなかった。他方、SCGF受容体を発現していると思しき各種細胞と標識SCGFとの直接結合反応も検討したが、将来特許性格を保有する可能性のあるデータに関する取り扱いはここでは留保することとする。 認識部位の異なる抗ヒトおよびマウスSCGFモノクロナル抗体を多種類作製し、精製各段階におけるSCGFのWesternによる確認の他、各方面でのSCGFの同定に供した。今後SCGFの多面的な生理薬理作用が解明されるにつれて、これらの抗体がSCGF作用の制御面で何らかの有益な役割を担う可能性を考慮している。
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