研究課題/領域番号 |
10557105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 俊夫 徳島大学, 医学部, 教授 (20157374)
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研究分担者 |
水島 淳 日本たばこ産業株式会社, 医薬総合研究所生物研究所, 副所長(研究職)
赤池 雅史 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (90271080)
東 博之 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (10241275)
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キーワード | リポ蛋白(a) / アポ蛋白(a) / 動脈硬化 / IL-6 / アスピリン / 転写活性 |
研究概要 |
高リポプロテイン(a)[Lp(a)]血症は独立した動脈硬化危険因子である。高Lp(a)血症は日本人の10〜15%に認められるが、有効で副作用の少ない薬剤は現在存在しない。我々は-1.4kbのapo(a)遺伝子プロモーターを組み込んだルシファラーゼ測定系を確立した。この系を用いてアスピリンがapo(a)遺伝子のプロモータ活性を用量依存性に抑制することを見い出している(0.05mM;82.3%、0.5mM;84.4%、5mM;44.3%)。アスピリンの代謝物であるサリチル酸ナトリウムはアスピリンと同様に用量依存性apo(a)遺伝子の転写活性を抑制した(0.05mM;94.8%、0.5mM;84.4%、5mM;57.1%)。一方、COX1阻害剤のインドメサシンはapo(a)遺伝子の転写活性抑制作用はCOX1の抑制作用を介するものではないと考えられた。次に、炎症性サイトカインであるIL-6のapo(a)遺伝子転写活性亢進作用に及ぼすアスピリンの影響について検討した。IL-6はapo(a)遺伝子の転写活性を約2倍に促進したが、IL-6の存在下でアスピリンを添加することにより、IL-6の転写活性亢進作用はほぼ完全に阻害され、対照群以下にまで低下した。、あた、apo(a)遺伝子プロモーターのdelction analysisの結果、-1300、-950、-560、-303、-30の5種類のconstructにおいてアスピリンは、同程度に抑制したことからアスピリンの反応作用部位は-30〜+138の範囲にあると考えられた。実際に、虚血性疾患を合併した高Lp(a)血症患者6例にアスピリンを投与し、経時的にLp(a)濃度を測定したところ、開始1か月後には前値の75%に低下し、追跡した5か月間低値を持続した。このように、我々のルシファラーゼ測定系は、Lp(a)濃度低下作用を有する化合物のスクリーニングに極めて有用であることが明らかになった。現在、このアスピリン作用機転についてさらに詳細に解析を行っており、併せて化合物のスクリーニングも進めている。
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