研究課題/領域番号 |
10557105
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 俊夫 徳島大学, 医学部, 教授 (20157374)
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研究分担者 |
水島 淳 日本たばこ産業株式会社, 医薬総合研究所・生物研究所, 副所長
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (90271080)
東 博之 徳島大学, 医学部, 助教授 (10241275)
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キーワード | リポ蛋白(a) / アポ蛋白(a) / 動脈硬化 / アスピリン / 転写因子 / 血管内皮細胞 / 肝細胞 |
研究概要 |
高リポプロテイン(a)[Lp(a)]血症は独立した動脈硬化症の危険因子である。高Lp(a)血症は日本人の10〜15%に認められるが、有効で副作用の少ない薬剤は現在存在しない。我々は-1.4kbのapo(a)遺伝子のプロモーターを組み込んだルシフェラーゼ測定系を確立した。この系を用いてアスピリンがapo(a)遺伝子の転写活性を著明に抑制し、apo(a)mRNAの発現も有意に抑制することをRT-PCR解析およびRNase protection assay解析で明らかにした。さらに、培養ヒト肝細胞にアスピリンを添加することにより培養上清中のapo(a)蛋白濃度は、非添加群に比べて約30%低下した。以上より、apo(a)遺伝子の転写活性を抑制する薬剤をスクリーニングすることにより血中Lp(a)濃度を低下させる薬剤を見いだすことが可能であることが明らかとなった。さらにこのin vitroにおける観察を実際にin vivoでも認められるか否かを、アスピリン治療を受けた患者で検討を行った。その結果、血中Lp(a)濃度が30mg/dl以上の高Lp(a)群ではアスピリン治療により血中濃度が約20%低下した。一方、30mg/dl以下の正常Lp(a)群では血中濃度に有意な変化は認められなかった。また、apo(a)アイソフォームの小分子量型やダブルバンド型では血中Lp(a)濃度が高値で、アスピリンによる血中濃度の低下効果が顕著であった。 アスピリンのアラキドン酸経路抑制以外の新たな機序を明らかにするため、血管内皮細胞を用いてアスピリン添加・非添加時のmRNAのsubtraction assay解析により、現在機能の明らかでない核内移行蛋白を見いだした。従って、この蛋白がapo(a)遺伝子の転写活性に影響を及ぼすか否かを明らかにすることにより新たな高Lp(a)血症治療薬の開発が可能になる。
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