研究課題
本研究では、レーザー光ビームがその波長程度まで絞り込むことができるという集光特性に注目し、ミクロンないしサブミクロンにまで集光したマイクロレーザー光ビームを用いて、個々の生体細胞のさまざまな加工や操作を非接触的に行うための全く新しい物理的な細胞制御技術を開発し実用化することを目指し研究を行った。(1)パルスレーザー装置とレーザートラッピング装置を一体化するための設計試作:これまで別個に行っていたYAGレーザーを光源とするパルスレーザー照射装置と、YAGレーザーを光源とするレーザートラッピング装置を同一顕微鏡に装着した。その際無菌操作が可能となるよう、これまで用いていた正立の顕微鏡ではなく、倒立顕微鏡で操作が可能となるよう、レーザー装置を作製した。(2)試作装置の動作性能評価:上記試作レーザーマニュビレーターを用い、トラッピング操作、細胞融合実験のための基礎的実験を行った。リンパ球を用いて、細胞融合のレーザー照射の条件を検討する。つぎにリンパ球とミエローマ細胞との細胞融合実験を行い、HAT selsctionにて融合細胞、つまりハイブリドーマの増殖性、機能性を検討した。(2)遺伝子導入のための試作装置の最適操作法の確立:プラスミドを培地に添加したリンパ球細胞、繊維芽細胞にパルスレーザーを照射し、遺伝子導入実験ならびにその遺伝子発現の検索を行った。その際、照射強度、時間、波長、照射角度を変え導入効率向上を計るための最適条件の検討を行った。