研究課題/領域番号 |
10557108
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土井 秀之 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (90188839)
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研究分担者 |
関口 悟 東北大学, 医学部・附属病院, 助手
織井 崇 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20282048)
桜田 正寿 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40292320)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 講師 (20192106)
大河内 信弘 東北大学, 医学部, 助教授 (40213673)
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キーワード | クッパー細胞(Kc) / リポソーム包埋クロドロネート / LE-Cl_2MDP |
研究概要 |
<目的〉>我々は、肝移植後拒絶反応におけるクッパー細胞(Kc)の役割を解明するために、ラット肝移植モデルを用いて実験を行った。 <方法>本実験においては、DAをドナー(D)に、LEWをレシピエント(R)に用いた。リポソーム包埋クロドロネート(LE-Cl_2MDP)を静注することによりKcや牌マクロファージを消去し得ることが報告されており、ドナー肝のKcの有無による生存期間の変化を観察するために、以下の実験群を作成した。A群;D、R共に無処置、B群;術前2日前にDにLE-Cl_2MDPを投与、C群;Kc消去グラフトを移植し術後Rに3、6病日にLE-Cl_2MDPを投与、D群;無処置グラフトを移植し、術後Rに0から6病日にLE-Cl_2MDPを連日投与。また、各群における病理学的、生化学的検討を行った。 <結果>1.生存期間はC群で、5匹中3匹が150日以上生存し、A、B群に対し有為に延長した。2.移植肝の病理学的所見では、A、B群では、術後単核球浸潤が著明となり拒絶されるが、C群では、単核球浸潤が2週間目をピークにその後次第に消退し、グリソン梢周囲の線維化が残存した。免疫染色において、浸潤細胞の多くはマクロファージ系の細胞であった。3.血清ビリルビン値の変化は、A、B群はほぼ経時的に上昇したが、C群では12病日がピークで14.4mg/dlであり、30病日では8.4mg/dlと下降した。 <結論>急性拒絶反応において、Kcの存在の有無は生存期間に大きな影響が認められなかったが、移植前後にわたりマクロファージ系細胞細胞を消去することが移植肝の拒絶反応の抑制に重要であることが示唆された。<今後の展開>各実験群におけるグラフト内浸潤細胞の解析やサイトカインの発現の検討を行うことにより、Kcと浸潤細胞の相互作用を解明し、さらに、大動物における同様の実験を行い、Kc抑制剤の臨床応用への検討を行いたい。
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