研究課題/領域番号 |
10557109
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 英昭 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (30134555)
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研究分担者 |
古川 聡 東京大学, 医学部附属病院, 医員
韓 一秀 東京大学, 医学部附属病院, 医員
井上 知巳 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | 好中球 / アポトーシス / ネクローシス / 外科侵襲 / サイトカイン / Caspaseファミリー / NF-kB |
研究概要 |
本研究は、外科侵襲での生体防御・炎症遷延化・臓器障害における好中球細胞死の意義を明らかにし、さらに重症感染や重症炎症での好中球ネクローシス防止、アポトーシス誘導に焦点をあてた対策を開発することを目的とする。本年度は、以下のような研究成績を得た。 1、 外科手術患者の末梢血を術前、術後第1、3、7日目に、腹腔ドレーン排液を術後1、2、3日目に採取した。それぞれの分離好中球を用いてフローサイトメトリーによる好中球細胞死と光学顕微鏡による好中球細胞死形態を測定した。電気泳動法によるDNA断片化も測定した。また、好中球機能の評価として活性酸素産生能とCD16(IgGFcレセプターIII)発現能、TNFレセプター発現能をも測定した。末梢血の好中球のアポトーシスは術後1日目から術後3日目において抑制され、術後7日目には回復すること、腹腔ドレーン排液中の好中球アポトーシスも術後1日目では極めて抑制され、その後に回復すること、術後局所の好中球アポトーシスが抑制されているほど、好中球の活性酸素産生能が亢進していること、これらの末梢血および局所の好中球のアポトーシスの抑制は手術侵襲と相関すること、腹腔局所の術後早期の好中球のアポトーシスにTNF-α、IL-6、IL-10濃度が関与する可能性があること、などが示唆された。 2、 健常成人の好中球をin vitroで各種濃度のTNF-αと培養し、好中球細胞死、細胞内Caspaseファミリー(ICE/CPP32)の発現およひNF-κBの活性化を測定した。低濃度のTNF-αは単独培養に比べ好中球アポトーシスを抑制、高濃度では逆に誘導を促進すること、アポトーシスが抑制された低濃度TNF-α処理により好中球NF-κBの著明な活性化が認められ、アポトーシス誘導された高濃度TNF-α処理では好中球ICE/CPP32の発現増加が認められること、などが明らかとなった。
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