研究課題/領域番号 |
10557110
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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研究分担者 |
岡 高茂 グンゼ株式会社, 研究開発部・京都研究所・第五研究室, 主任研究員
滝 和郎 三重大学, 医学部, 教授 (70144368)
井上 一知 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (90168435)
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キーワード | 脊椎骨固定術 / 骨 / b-tricalcium phosphate / 骨形成因子 / BMP-2 / ケイジ / アルギニン-グリシン-アスパラギン酸 / コラーゲン |
研究概要 |
ヒト乾燥硬膜、自動吻合機の補助材であるブタGA固定心のう膜、フィブリン糊、さらにゼラチン癒着防止材等の合成代替品の開発を行ってきた。本年度は生体骨の代替品と組織工学用材料の開発を進めた。 脊椎骨固定術でチタン製の癒合ピンが用いられているが、椎骨との癒合が十分でなく、表面を多孔質化したピンや貫通孔を有するケイジ等が作製されてきた。さらに、臨床の現場ではケイジ内に自家骨や他家骨片を入れて、骨の成長を促進し椎骨とケイジの癒合をより完全に行おうと試みられている。しかし、自家骨を用いる場合には健康な部位の骨を傷つけ、また、他家骨では感染症の移入の心配がある。本年度では、自家骨や他家骨片に代わる材料を試作することを試みた。ハウンド犬の椎骨間にケイジを挿入し、ケイジ内には自家骨を入れたA群、b-tricalcium phosphateを入れたB群、b-tricalcium phosphateと組換え骨形成因子(rhBMP-2)との混合物を入れたC群を作製し、埋め込み後16週間後に椎骨を取り出し、それぞれの力学試験と組織学的検討を行った。組織学的検討からは癒合率はA群は37.5%、B群は37.5%、C群は62.5%となった。b-tricalcium phosphateのみを用いることで自家骨の代替を行うことができるが、b-tricalcium phosphateと組換え骨形成因子(rhBMP-2)の組み合わせにより十分な癒合を促進できることがわかった。 ポリ乳酸やポリグリコール酸は組織工学用材料として多用されているが、細胞接着性が悪く、生体由来コラーゲンとの複合化がよく行われてきた。コラーゲンの代替として、細胞接着機能を有するアルギニン-グリシン-アスパラギン酸を分子内に多数存在する組換えタンパクを検討し、十分実用に耐えることを明らかにした。
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