研究概要 |
1.前年度までの実験結果より、二層法による温阻血障害膵の機能回復には、保存中の蛋白合成が関与していることが証明された。今年度はさらに詳細な検討として、細胞修復に関与が報告されているストレス蛋白に着目し、膵組織中のHSP-90,72,60,32の免疫組織染色を行い、温阻血障害膵の機能回復との関連性を検討した。二層法保存後の膵臓においては、HSP-60の発現が増強しており、温阻血障害膵の機能回復にHSP-60の関与が示唆された。 2.小腸においても、二層法を用いることにより心停止ドナーからの臓器移植が可能か検討中である。同種小腸異所移植モデルを用いて、温阻血30分を負荷後に部分空腸を摘出し、UWまたは二層法で24時間保存、その後に腸骨窩に移植し生存率を検討した。生存率はUW群では0/5(0%)であったのに対し、二層法群では2/3(67%)であった。一方移植7日目の吸収試験においては、コントロール群(温阻血なし)に比して二層法群では、吸収能の低下を認めた。現在更に症例を重ねて検討中である。
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