研究概要 |
まず、ラット移植心を用いて、約20種類の遺伝子mRNAの定量法を確立した。測定対象とした遺伝子はGAPDH,HGPRT,CD3 delta,IFN-γ,Perforin,Fas ligand,RANTES,Endothelin 1,VCAM1,IL-2 receptor alpha chain,IL-2,IL-4,IL-10,TNF-α,IL-1β,MCP-1,MIP-1β,inducible NOS,IGF1,PDGFβ,TGFβ1,VEGF,IL-15などであり、ABI PRISM 7700 SequenceDetection Systemの使用により、何れに対してもCV10%程度、感度10〜100分子/tubeの高感度・高精度の測定系を確立することが出来た。 上記の測定系を用いて、心慢性拒絶反応のラットモデルにおける遺伝子発現様式を、経時的に解析したところ、我々の“戻し心移植"によるモデルでは初期のT細胞応答が病変の発生と強く相関するという結果を得た。また本モデルではマクロファージの強い活性化も観察されるが、それ単独では心慢性拒絶反応に見られる急速かつ高度の動脈硬化病変の発生には不充分であることが示された。また動脈硬化病変の進展とPDGFβ,TGFβ1の発現に弱い相関関係を認め、これらの増殖因子の病的意義が示唆された。現在、測定数を増やして、同様の結果が得られるかどうか確認中であり、結果を確認した後、学術集会および論文に発表する予定である。
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