研究課題/領域番号 |
10557124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学部, 助手 (30263247)
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研究分担者 |
榊田 悟 大阪大学, 医学部, 助手
西村 元延 大阪大学, 医学部, 助手 (90291442)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学部, 教授 (00116047)
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キーワード | 異種移植 / 遺伝子導入 / HVJリポゾーム法 / アポトーシス / Bcl-2 / ハムスター / ラット / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
本研究の目的は、拒絶反応に関与するリンパ球の働きを抑制したり、免疫担当細胞の攻撃を受けても移植臓器・組織が容易にアポプトーシスに陥らないように、移植心に各種の遺伝子を導入・発現させ、拒絶反応を予防するとともに、移植心に対する遺伝子導入法を用いた免疫抑制療法を確立することである。本年度はリンパ球に移植心が攻撃を受けても、心筋細胞がアポプトーシスに陥りにくくする(bcl-2の発現)ように遺伝子を導入し、その効果を検討した。具体的にはconcordant異種移植心に対するBcl-2遺伝子の導入による拒絶反応抑制効果を実験的に検討した。 対象と方法:HJVリポゾーム法を用いてBcl-2遺伝子をGolden Hamster摘出心に遺伝子を導入し、Lewis ratの腹部に異所性移植した。ratには移植前にコブラ毒とFK506を投与し、細胞性拒絶反応と補体を介した液性拒絶反応を抑制した。生着期間を観察するとともに、移植後定期的に移植心を摘出し、組織学的所見とBcl-2の発現を検討した。群として、Bcl-2を遺伝子導入した群(導入群)、導入しなかった群(非導入群)とした。結果:両群間の生着期間に有意差を認めなかった。Bcl-2導入群において、移植後急性期には移植心の血管内皮細胞にBcl-2が発現していたが、遠隔期(移植後3週間以降)は発現していなかった。Bcl-2導入群において、移植後急性期、遠隔期共に細胞浸潤、心筋壊死を認めた。また、移植後急性期には血管は構造が保たれていたが、遠隔期には血管壁の肥厚を認めた。非導入群では、いずれの時期においても、細胞浸潤、心筋壊死、血管壁の肥厚を認めた。考察:以上の結果より、HJVリポゾーム法を用いてBcl-2遺伝子を導入することにより、concordant異種移植心の冠動脈痰変を軽減できる可能性があることが示唆された。
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