研究課題/領域番号 |
10557124
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
|
研究分担者 |
西村 元延 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90291442)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90311753)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | 遺伝子導入法 / ハムスター / ラット / 心移植 / HVJ リポゾーム法 / 移植心冠動脈硬化症 / Bcl-2 |
研究概要 |
本研究の目的は、拒絶反応に関与するリンパ球の働きを抑制したり、免疫担当細胞の攻撃を受けても移植臓器・組織が容易にアポプトーシスに陥らないように、移植心に各種の遺伝子を導入・発現させ、拒絶反応を予防するとともに、移植心に対する遺伝子導入法を用いた免疫抑制療法を確立することである。本研究はリンパ球に移植心が攻撃を受けても、心筋細胞がアポプトーシスに陥りにくくする(bcl-2の発現)ように遺伝子を導入し、その効果を検討した。具体的にはconcordant異種移植心に対するBcl-2遺伝子の導入による拒絶反応抑制効果・移植後冠動脈硬化症(GCAS)抑制効果を実験的に検討した。対象と方法: HJVリポゾーム法を用いてBcl-2遺伝子をGolden Hamster摘出心に遺伝子を導入し、Lewis ratの腹部に異所性移植した。ratには移植前にコブラ毒とFK506を投与し、細胞性拒絶反応と補体を介した液性拒絶反応を抑制した。生着期間を観察するとともに、移植後定期的に移植心を摘出し、組織学的所見とBcl-2の発現を検討した。群として、Bcl-2を遺伝子導入した群(導入群)、導入しなかった群(非導入群)とした。結果:両群間の生着期間に有意差を認めなかった。Bcl-2導入群において、移植後急性期2〜3週間以内には移植心の冠動脈壁にBcl-2が発現していたが、遠隔期(移植後4週間以降)は発現していなかった。Bcl-2の導入に関わらず、移植後急性期、遠隔期共に細胞浸潤、心筋壊死を認めた。GCAS scoreについては、移植後急性期(Bcl-2発現時期)には導入群のGCAS scoreは非導入群より有意に低値であったが、遠隔期(Bcl-2非発現時期)にはGCAS scoreは両群共に有意に増加し、両群で差はなかった。考察:以上の結果より、HJVリポゾーム法を用いてBcl-2遺伝子を導入することにより、concordant異種移植心の冠動脈病変を軽減できる可能性があることが示唆された。
|