研究概要 |
ラット4vessels occlusion modelの海馬CA1神経細胞死におけるBcl-2関連遺伝子産物の関与とNGF産生を誘導して神経細胞死を抑制すると考えられている塩酸ビフェメラン処置による変化を観察した。TUNEL染色により観察される海馬錐体細胞のアポトーシスはビフェメラン投与により有意に抑制された。コントロール群ではCA1領域でBcl-2,Bcl-xLの発現低下がみられ、ビフェメラン投与群では発現低下の程度が抑制されていた。神経細胞死が認められないCA3領域では神経細胞の軸索に沿って強いBcl-2陽性所見が得られた。またアポトーシスをきたさず残存した神経細胞の細胞質にBcl-2,Bcl-xLが強く染色された。今後はBcl-2のリン酸化の程度の変化についても検討し、より詳細な研究を行う予定である。現時点では神経細胞死に強く関連するアポトーシス関連遺伝子を同定するに至っていない。以前アポトーシス誘導因子としてFas/Fas ligand系の検索を行ったが、有意な変化を捉えることができなかった。最近Fas/Fas ligand系以外のアポトーシス誘導因子としてTRAIL/DR4,DR5系とその抑制因子であるDcR1,DcR2が知られている。最終年度はこの系にターゲットを絞って研究を進める予定である。また数千の遺伝子発現を一度に検索することができるDNA microarray法を用いて虚血による発現遺伝子プロファイルを検討する予定である。
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