研究概要 |
フィラメント法によるラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し、経時的に断頭し脳を摘出した。30μmの凍結切片をメタノールにて固定し、HE染色にて中大脳動脈領域の梗塞巣を同定した。Laser capture microdissectionによりischemic core(i),penumbra(p),normal(n)領域の脳を採取した。その溶解液中に含まれる蛋白質をSELDI-TOF-mass spectrometryにて解析した。チップはH4およびSAX-2チップを使用した。N領域に比較してpおよびi領域で減少する蛋白質を3種類、逆に増加する蛋白質が3種類認められた。現在MS/MS装置により、アミノ酸配列の同定を試みている。 またラット脊髄腔内にカテーテルを挿入したモデルを作成した。中大脳動脈閉塞モデルラットから経時的にこのカテーテルから髄液を採取し、SELDI-TOF-mass spectrometryにて髄液中内の微量蛋白質の同定を行った。急性期に増加する蛋白質2種類と慢性期に増加する蛋白質1種類が認められ、分析を行っている。 さらにこのカテーテルからmidkine,NGFなどの神経栄養因子を注入し、これらが脳梗塞巣の縮小効果を持つかどうか、あるいは神経細胞のアポトーシスを抑制する効果があるかどうかについても検討し、一定の抑制効果を認めた。この系は薬剤の系髄液腔投与の実験モデルとして有用であることが確認できた。
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