研究概要 |
ラット4vessels occlusion modelの海馬CA1領域では虚血後2日目に約15%、4日目に約60%の細胞がアポトーシスに陥っていることがTUNEL染色にて明らかとなった。神経細胞保護作用がある塩酸ビフェメランを腹腔内投与すると、神経細胞死が約半数に減少した。Bcl-2関連遺伝子産物の関与を免疫組織学的に検討した結果、コントロール群では経時的にBcl-2の減少とBcl-xの増加が認められたが、塩酸ビフェメランはこれらに影響を与えなかった。Baxはコントロール群で増加したが、塩酸ビフェメラン投与群ではこれを減少させた。以上の結果より塩酸ビフェメランはアポトーシス促進系を抑制することでアポトーシスによる神経細胞死を防いでいる可能性が示唆された。 フィラメント法によるラット中大脳動脈閉塞モデルを作成し、経時的に断頭し脳を摘出した。 30μmの凍結切片をメタノールにて固定し、HE染色にて中大脳動脈領域の梗塞巣を同定した。 Laser capture microdissectionによりischemic core(i),penumbra(p),normal(n)領域の脳を採取した。その溶解液中に含まれる蛋白質をSELDI-TOF-mass spectrometryにて解析した。チップはH4およびSAX-2チップを使用した。N領域に比較してpおよびi領域で減少する蛋白質を3種類、逆に増加する蛋白質が3種類認められた。現在MS/MS装置により、アミノ酸配列の同定を試みている。 またラット脊髄腔内にカテーテルを挿入したモデルを作成した。中大脳動脈閉塞モデルラットから経時的にこのカテーテルから髄液を採取し、SELDI-TOF-mass spectrometryにて髄液中内の微量蛋白質の同定を行った。急性期に増加する蛋白質2種類と慢性期に増加する蛋白質1種類が認められ、分析を行っている。
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