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1998 年度 実績報告書

シナプス伝達機能の可視化による脳損傷後の高次脳機能回復メカニズムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 10557131
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

今堀 良夫  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80191899)

研究分担者 木村 實  大阪大学, 健康体育部, 教授 (40118451)
大森 義男  京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80240951)
天神 博志  京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70197820)
キーワードRecovery / Plasticity / Emotion / Remodeling / CNS injury / Association area / Neural network / Higher cortical function
研究概要

[目的] 大脳は可塑性に富む事が実験的に知られ、部分的な脳損傷を受けた場合には機能回復が起こる。しかしその詳細なメカニズムは現在も解明されていない。事実、脳卒中や脳腫瘍による皮質損傷では臨床経過は決して単調ではなく、高次脳機能に時間的な変化が見られる。すなわち、修復、代償など複雑な過程が繰り返されている事が考えられる。これらの変化は脳内におけるシナプス連絡の動的リモデリングを反映しているのではないであろうか。われわれは損傷が遠隔領域の大脳皮質連合野に局所的なイノシトールリン脂質シグナルの増強を誘発することを観察したが、この増強現象は大脳皮質の失った神経回路に対する連合野の代償的な修復過程を可視化するものではないかと考えられた(論文参考)。そこで本研究では神経ネットワークのリモデリング過程を観察し連合野を介する高次脳機能の回復メカニズムの解明を試みた。
[結果](1) 脳卒中や脳損傷の症例でイノシトールリン脂質シグナルの増強現象と高次脳機能の改善程度との関連を調べ、増強現象が出現した皮質連合野の領域と、改善を示した高次脳機能の質的関連を検討した。改善程度との関連では、脳卒中や脳損傷における中枢神経系損傷において増強現象は亜急性期、すなわち修復期と考えられる2週から1ヶ月の間で、確率75%で出現した。また慢性期すなわち症状固定期では出現しないことが判った。前方連合野と後方連合野などの可塑的機能の強い領域に増強現象が出現した症例では、記銘力の向上や集中力の改善が認められた。
(2) 神経学的な高次脳機能回復状況と皮質連合野領域の脳地図からシナプス伝達機能の修飾が起こった脳領域を統計学的に調べた結果、損傷部から離れた前方連合野と後方連合野などの可塑的機能の強い領域に増強現象は出現し、連合野におけるシナプスの修飾作用の貢献が考えられた(Imahori,et al.,NeuroReport 10(1),117-121,1999)。
(3) ラットを用いた実験的脳損傷モデルで増強現象を再現し、この部位を取り出しdifferential display法をもちいてシナプス伝達機能の修飾に関与する因子を検索した。その結果、mRNAの発現に大きな変化が認められた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Imahori, Y., et al.: "Neural features of recovery from CNS injury revealed by PET in human brain." NeuroReport. 10(1). 117-121 (1999)

  • [文献書誌] Kusuki, T., Imahori, Y., et al.: "Potentiation of phosphoinositide-derived signals during LTP in intact rat brain." NeuroReport. 9(9). 2085-2088 (1998)

  • [文献書誌] Imahori, Y., et al.: "Positron emission tomography-based boron neutron capture therapy using boronophenylalanine for high-grade gliomas : Part-I." Clinical Cancer Res. 4. 1825-1832 (1998)

  • [文献書誌] Imahori, Y., et al.: "Positron emission tomography-based boron neutron capture therapy using boronophenylalanine for high-grade gliomas : Part-II." Clinical Cancer Res. 4. 1833-1841 (1998)

  • [文献書誌] Imahori, Y., et al.: "Fluorine-18-labeled fluoroboronophenylalanine PET in patients with glioma." J Nucl Med. 39(2). 325-333 (1998)

  • [文献書誌] 今堀良夫.: "PET(positron emission tomography)を用いたアニラセタムの神経伝達改善作用の検討." 診療と新薬. 35(11). 1066-1072 (1998)

  • [文献書誌] 福田 實、今堀良夫、他: "画像診断の最前線-視覚でとらえる機能と形態、熱中性子捕捉治療とPET." 佐々木康人編著 実業公報社(東京)(in press), (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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