研究概要 |
1. 軟骨細胞培養 家兎膝関節から軟骨組織を採取し,酵素処理にて軟骨細胞を単離した.これをコラーゲンゲルに包埋し,培養を行ない,移植媒介(コラーゲンゲル)下での培養法,および培養条件を確立した. 2. 培養軟骨細胞に対するTGF-blの効果の検討 1.の条件下にて培養液中にTGF-β1(1ng/ml)を添加し,軟骨細胞に対する細胞増殖能およびコンドロイチン硫酸産生量を調べた.その結果,対照群に比べ約2倍の細胞増殖能,約1.7倍のコンドロイチン硫酸産生量であることがわかった. 3. 培養軟骨細胞に対するTGF-β1とbFGF,IGF,ヒアルロン酸の影響の比較 1.の条件下にて培養液中にbFGF(1ng/ml),IGF-1(10ng/ml),ヒアルロン酸(0.1mg/ml)を添加し,軟骨細胞に対する細胞増殖能およびコンドロイチン硫酸産生量を調べ,TGF-blのそれらと比較した.その結果,細胞増殖能およびコンドロイチン硫酸産生量はともにTGF-blが他に比べ優れていることがわかった.また,これらの相互作用について検討中である. 4. 半月板無血行野に対するraspingの効果 家兎膝関節半月板無血行野に作製した縦断裂にraspingを行い,修復及び修復過程にて出現するTGF-β1などのサイトカインの発現につき経時的に観察し,raspingの有用性を証明した. 5. TGF-b遺伝子の調整 pSVTGF-blにマーカーとなるgreen fluorescent proteinの遺伝子pEGFPを組み込んだものを,1.で調節した軟骨細胞にelectroporationを用いて遺伝子導入し,その導入効率および条件について検討中である. 6. Probeの作製 修復効果の判定に用いる分子生物学的手法であるin site hybridyzationおよびNorthern blot analysisのためにRT-PCR法を用いてtype II collagen,type I collagen,およびaggrecanのprobeの作製を行った.
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