研究概要 |
前年度の研究を進め、家兎膝関節から分離した滑膜細胞にelectroporationでlacZgeneを導入し、導入後にlacZを発現させることに成功した。ついでTGFβ遺伝子をQinらの方法に準じて、滑膜細胞に導入を行った。導入の際の至適条件を求めるため刺激電圧、刺激時間、細胞濃度、細胞浮遊液成分等を検索した。この至適条件の決定には導入条件によって細胞の生存率や遺伝子の発現率が大きく変化することが分かった。従って、導入効率を上げるためには厳密な設定条件が必要であり、この決定には多くの労力と時間がなお必要であると考えられた。しかし、この決定こそが本研究が実用化できるための鍵であり、慎重に行っている。また、半月細胞でも同様に導入至適条件を求める実験を行っているが、その至適条件の決定にはなお時間と労力が必要である。一方、半月板断裂モデルはすでに確立でき、コントロールとしての半月ラスピング後の半月および滑膜のTGF-β、IL-1,IGF, Lamininに対する免疫組織学的検索を行った。これによると、IL-1,TGF-β、lamininなどのサイトカインがラスピング早期に出現することが判明した。また、生体力学的検索においてラスピング群がより力学的強度を有していることが判った。この半月板断裂モデルを用いてTGFβを導入した半月軟骨細胞移植実験を行い、その免疫学的検索とともに、生体力学的評価も行う予定である。
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