研究概要 |
本年度の研究内容は,1)希望する麻酔状態が得られるよう薬物注入を制御するシステムを安定して運用するための改善と,2)ネットワークを経由して注入制御プログラムを遠隔制御する際の問題点の検討,である. 鎮静度モニタから得られるBispectral Indexと,薬物動態・薬力学モデルから算出される効果部位濃度には、個々の患者で極めて良好な対応関係が認められた.そこで,各患者において麻酔開始時からこれら2変数の関係を求め,その関係式を求め用いて希望するBispectral Indexが得られる効果部位濃度となるようTarget-Controlled Infusionを行うアルゴリズムを臨床の場で麻酔管理に試用したところ良好な制御が得られた.この結果,システムの開発当初に比べて安定した鎮静度を得ることが可能となった. MacOS上で動作する本システムを遠隔制御する方法として,市販のネットワーク経由による遠隔操作ソフトウエア(2種類)の利用を検討した.アップル・ネットワークアシスタント3.5日本語版では同時に1台の麻酔システムしか制御できなかったが,TimbuktuPRO4.8日本語版では同時に複数台の麻酔システムを制御できるだけでなく,WindowsマシンからもMacintosh上で動作する本システムを遠隔制御できることが確認された. 現段階では手術室内に配線したLAN上での動作実験であるが,理論的にはインターネットを経由していかなる場所からも遠隔制御が可能である.次年度には,一般インタ-ネット回線を経由した遠隔制御の実現に向けて,研究を進める予定である.
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