排尿障害治療に対する電気刺激療法には様々な方法がこれまで報告されている。脊髄神経に電極と挿入し、直接神経刺激を行う方法、女性では経膣的にタンポン型刺激用probeを挿入して行う方法、また経皮的に刺激用probeを置く(例えば大腿部皮膚や会隠部皮膚に)方法などが報告されている。我々の目的は従来の方法とは異なり、内視鏡を用いた一時的電気刺激により排尿障害の改善がはかれないかを検討するものであり、内視鏡の使用法としては、腹腔鏡ないし経尿道的操作を考案している。昨年開発した電気刺激装置を用いて排尿反射誘発に対する実験を計画した。当初正常ブタによる実験を計画したが、動物管理に問題があり、腹腔鏡的電気刺激法は困難と判断し、経尿道的膀胱電気刺激法の開発に主眼をおくこととした。ブタでの実験を諦めウサギによる実験に計画を変更した。経尿道的膀胱電気刺激を行うための前段階として、正常ウサギを用いて、膀胱外より膀胱を刺激して誘発される排尿について至適刺激条件を決定するべく実験を行っているが、現時点では確定できていない。排尿反射を誘発するために膀胱体部のどの部位を刺激するのが適当か決定することが先決で、それにより刺激条件を決定したいと考えている。動物実験の進行が遅れているため、臨床応用としては平成12年度中は見通しが立っていない。更に膀胱外からの刺激実験を継続した後、細径のファイバースコープを用いた内視鏡的刺激実験に移行したいと考えている。
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