研究課題/領域番号 |
10557142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉田 正貴 熊本大学, 医学部, 助教授 (20201858)
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研究分担者 |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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キーワード | Nitric oxide / NO消去剤 / carboxy-PTIO / 尿失禁 / 血圧 / 気管平滑筋 / 尿道平滑筋 / 腎機能 |
研究概要 |
我々はこれまでNOと下部尿路、特に尿道機能についてradicalNOの消去作用を有する安定で低毒性の有機化合物(imidazolineoxyl N-oxides;PTlO)を用いて検討を行ってきた、その結果PTlOはNOの消去作用により尿道弛緩の重要な神経伝達物質であるNOを抑制することで尿道を収縮させると考えられた。最近の高齢化社会に伴い尿失禁の患者が急増しており、この治療に対して新しい薬剤が期待されている。尿道弛緩の主な神経伝達物質がNOであることを考えると、NO消去剤は尿失禁治療に有用である可能性が考えられ、本研究においてはNO消去剤であるPTlOを尿失禁治療薬として臨床応用を行うにあたり、この薬剤の詳細な薬理作用について検討した。 1) 心血管系:家兎にてcarboxy-PTlOの心拍数、平均血圧、冠動脈血流量、心拍出量への作用を検討し、それぞれのパラメーターにおいて1.0mg9/kg/minの投与量までは有意な変化はみられなかった。 2) 気道系:家兎の気管支平滑筋条片を筋浴槽内に固定し、ヒスタミン前収縮に対する経壁電気刺激の弛緩反応を観察した。また平滑筋条片に臓器用透析プローブを挿入し臓器透析用装置で透析液を回収しながら経壁電気刺激を行い回収した透析液内のNO濃度を測定した。Carboxy-PTlOの10μMまでの投与はヒスタミン前収縮に対する電気刺激の弛緩反応、NO放出量に対して有意の変化を示さなかった。 4) 腎機能:麻酔下ラットで経静脈的にcarboxy-PTlOを投与し、尿量、尿中電解質排泄量、腎機能のパラメーターを測定した。1.0mg/kg/minまでのcarboxy-PTlOの投与は尿量、CCr、尿中電解質排泄量に影響を及ぼさず、投与後の腎組織の組織学的変化も見られなかった。 5) 尿道機能:麻酔下の脊髄損傷モデルラットに対して圧力トランスデューサーにて膀胱内圧、尿道内圧測定を行った。経静脈的に投与したcarboxy-PTlOの(1.0mg/kg/min)は膀胱容量、排尿圧、排尿回数には有意な変化は示さなかったが、尿道閉鎖圧は有意に上昇した。 6) ラットにcarboxy-PTlO(1.0mg/kg/min)を静注した際の尿中、糞中、胆汁中の未変化体濃度をESRを用いて測定し、carboxy-PTlOの約85%は尿中に排泄され、残りは肝で代謝されると考えられた.
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