研究課題/領域番号 |
10557147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大道 正英 大阪大学, 医学部, 助手 (10283764)
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研究分担者 |
池上 博雅 大阪大学, 医学部, 講師 (10184409)
倉智 博久 大阪大学, 医学部, 助教授 (40153366)
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キーワード | MAP kinase / GnRH / GnRHアゴニスト / 卵巣癌 / 増殖抑制 / GnRH受容体 / MEK inhibitor / SOS |
研究概要 |
GnRHがヒト卵巣癌の細胞株においてMAP kinasepathwayを刺激するか及びその生理的意義について検討した。 1) ヒト卵巣癌の細胞株Caov-3細胞において、GnRH受容体の発現をRT-PCR法にて確認した。 2) GnRH及びGrRHアゴニストがCaov-3細胞においてMAP kinaseを刺激するかどうかを、MAPkinase抗体での免疫沈降後MAP kinaseの基質であるMyelin basic proteinへの^<32>Pの取り込みより検封した。GnRHアゴニストは、GnRHよりも強くMAP kinaseを刺激した。 3) GnRH及びGnRHアゴニストがMAP kinaseの上流に位置するkinaseをも活性化するかどうかをras活性化因子であるSOSに着目した。dominant negative SOS(ras活性化因子部分を欠如したSOS)の遺伝子をCaov-3細胞に分子生物学的手法を用いて導入するとCNRII及びGnRIIアゴニストのMAP kinase刺激を抑制した。この事よりSOSがMAP kinaseの上流に位置しているのを確かめた。 4) 細胞増殖はGnRHアゴニスト投与24時間から約20%に有意に抑制され、その効果は4日間持続する事をMTSを用いた細胞増殖試験により確かめた。 5) MAP kinase pathwayの特異的な阻害剤であるMAP kinase(MEK)inhibitorはGnRHアゴニストによる増殖抑制効果を解除した。 この様にGnRH及びGnRHアゴニストがヒト卵巣癌の細胞株において増殖抑制効果を示し、そのメカニズムにMAP kinasepathwayが関与している事が示唆された。今後は、卵巣癌の予後を改善するためにそのkey drugであるシスプラチンの耐性化機構を解明していく予定である。
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