研究課題/領域番号 |
10557147
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大道 正英 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10283764)
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研究分担者 |
森重 健一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90283788)
坂田 正博 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10260639)
倉智 博久 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40153366)
山本 敏也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80283787)
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キーワード | GnRHアゴニスト / シスプラチン / 耐性 / 卵巣癌 / MAP kinase / ERK / JNK / G1期停止 |
研究概要 |
シスプラチン耐性であるヒト卵巣癌の細胞株Caov-3細胞において、シスプラチンによるJNK及びERK活性化は耐性獲得に関与している事を明らかにした。今年度は、異なったヒト卵巣癌の細胞株においてシスプラチンの作用を検討した。 1)シスプラチンが、シスプラチン感受性であるヒト卵巣癌の細胞株A2780細胞においてJNKを刺激するかどうかを、精製したc-Junを基質としてin vitro kinase assayを施行し燐酸化c-Junを認識する抗体を用いたウエタンブロット解析にて検討した。また、ERKを刺激するかどうかを、ERK抗体での免疫沈降後ERKの基質であるMyelin basic proteinへの^<32>Pの取り込みより検討した。シスプラチンはJNK及びERKを異なったkineticsで活性化した。 2)シスプラチンのJNK及びERK刺激作用がDNA結合により生じているのかを、DNAに結合しないシスプラチンの異性体であるトランスプラスチンを用いる事により検討した。トランスプラスチンはJNK及びERKを刺激しない事より、シスプラチンのJNK及びERK刺激作用はDNA結合により生じている事が示唆された。 3)A2780細胞にJNK活性を抑制するためにc-JunのJNKによる燐酸化部分を消失した遺伝子(dominant negative c-Jun)導入及びMAP kinase pathwayの特異的な阻害剤であるPD98059投与によりシスプラチン感受性がより顕著になった。 以上より、シスプラチンによるDNA損傷からの修復過程でJNK及びERKが活性化され、耐性獲得機序の一端を担っている可能性を明らかにした。
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