研究課題/領域番号 |
10557148
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
青野 敏博 徳島大学, 医学部, 教授 (50028445)
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研究分担者 |
松崎 利也 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70294692)
苛原 稔 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (20160070)
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キーワード | ゴナドトロピン療法 / 排卵誘発 / GnRHパルス療法 / FSH低用量維持療法 / 単一卵胞発育 / 多胎妊娠 / 卵巣過剰刺激症候群 |
研究概要 |
平成11年度は、FSH低用量療法に関して多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者について症例を集積し、FSH単独療法、FSH-GnRH療法と比較した。 3群ともに、排卵率、妊娠率には有意差はなかった。治療日数は視床下部性と同様、FSH-GnRH療法とFSH単独療法はそれぞれ7日程度と差はなかったが、FSH低用量療法は11日程度と長期間必要であった。平均発育卵胞数はFSH-GnRH療法2.4個、FSH低用量療法4.3個とFSH単療法6.3個に比べて低率であり、かつFSH-GnRH療法はFSH低用量療法よりもより低率であった。視床下部性排卵障害患者での治療成績に比べるとPCOSでは発育卵胞数が多いため、FSH-GnRH療法でも単一卵胞発育率は約50%程度であるが、FSH単独療法では全てが3個以上であり、PCOSでもFSH-GnRH療法は高率に単一卵胞発育が起こることが認められた。FSH-GnRH療法に多胎妊娠はなくFSH単独療法による多胎妊娠30.3%に比較して有意に低率であった。また、OHSS発生率はFSH-GnRH療法で13.4%とFSH単独療法で43.2%比較して有意に低率であり、PCOSの治療においてもFSH-GnRH療法の安全性は高いことが示された。 なお、FSH低用量維持療法では症例数が少なく、有意差を検定できないが、安全性についてもFSH-GnRH療法とFSH単独療法の中間になるものと想像される。 FSH-GnRH療法は、視床下部性排卵障害およびPCOSともに、FSH単独療法と同等の排卵率、妊娠率を保ったまま、発育卵胞数を減少させ、卵巣過剰刺激症候群の発生を軽減し、多胎妊娠を予防できることが示された。他方、比較的副作用の少ない投与法と報告されているFSH低用量維持療法について検討したところ、排卵率、妊娠率はFSH-GnRH療法やFSH単独療法と同等であるが、発育卵胞数、OHSSの発生はFSH単独療法より低率であるものの、FSH-GnRH療法に比較すると高率であった。治療日数は他の投与方法よりも長く、患者のコンプライアンスは若干低下すると考えられる。
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