研究課題/領域番号 |
10557153
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
相原 一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80222462)
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研究分担者 |
森 樹郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00240721)
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キーワード | アラキドン酸 / プロスタグランディン / ロイコトリエン / 血小板活性化因子 / 眼病理 / 細胞質型ホスホリパーゼA2 / 遺伝子組換え動物 |
研究概要 |
1.角膜・網膜血管新生:血小板活性化因子(PAF)受容体ノックアウトマウスおよび過剰発現マウスにアルカリ障害およびアルカリより弱い上皮障害モデルによって角膜血管新生を誘導する実験を行った。様々な条件で比較したが、野生型とノックアウト、過剰発現マウスの間に血管新生の有意な差を認めなかった。 2.実験的ぶどう膜炎:PAF受容体ノックアウトマウスのミクログリアを用いて、PAFに対する反応を検討した。ミクログリアはPAFに対してMAPKの活性化を伴う走化性を示した。またPAFによりサイトカイン、神経栄養因子の誘導がみられたが、その反応はむしろ神経保護的に働くことが示唆された。PAF受容体ノックアウトマウス、細胞質型フォスフォリパーゼA2(cPLA2)のノックアウトマウスでブドウ膜炎モデルに適すバックグラウンド(BALB/c)に戻し交配を行う計画であったが終了しなかった。一方このマウスを用いてPAF受容体とぶどう膜炎の発症の関係を探るモデルとして、LPSを用いた実験的ぶどう膜炎を発症させたが、血小板活性化因子(PAF)受容体ノックアウトマウスおよび過剰発現マウスで差が見られなかった。 3.網膜光障害:PAF受容体ノックアウトマウスおよび細胞質型フォスフォリパーゼA2(cPLA2)のノックアウトマウスに様々な条件で光照射をおこなった。 光照射後によって野生型、PAF受容体およびcPLA2ノックアウトマウスの双方に視細胞のアポトーシスが誘導された。光照射後の後極部網膜外顆粒層のTUNEL陽性細胞の数を計測したところ、経時変化としては統計学的な有意差を認めなかった。光照射後4日以降、視細胞層はPAF受容体ノックアウトマウスで野生型に比べて有意に温存されていた。このことより、PAF受容体は傷害された視細胞の貪食処理に関与すると考えられた。一方cPLA2ノックアウトマウスに関しては野生型と視細胞の障害は差がなかった。 4.網膜変性症:遺伝的網膜変性モデルマウスであるC3H(rd)とcPLA2あるいはPAF受容体のノックアウトマウスを掛け合わせる戻し交配を引き続き行う予定であったが、種々の事情により中止している。
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