研究課題/領域番号 |
10557158
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
平田 仁 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (80173243)
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研究分担者 |
永井 裕 高研バイオサイエンス研究所, 所長 (90013812)
樋廻 博重 三重大学, 医学部, 教授 (60024642)
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キーワード | 人工神経 / シュワン細胞 / アンチセンス / 神経栄養因子 / アポトーシス / 神経再生 |
研究概要 |
昨年までの研究で、(1)培養シュワン細胞が単層培養では2週程度で、人工基底膜中での3次元培養でも4週程度で非定型的apoptosisを生ずる事、(2)apoptosisは神経成長因子(NGF)とそのレセプターの結合により細胞内セラミドが上昇し、NFkBが過剰に活性化されることで生じていること、(3)同じシグナルが低レベルで発現している際にはシュワン細胞柱の形成、維持が誘導されていること、(4)NGFの産生レベルに変動は見られず、NFkBの過剰な活性化はシュワン細胞膜表面におけるNGFレセプターの密度の上昇によりもたらされること、(5)NGFレセプター或いはNFkBの発現を抑制する、スフィンゴミエリンサイクルに関与する酵素を阻害することでシュワン細胞柱形成、シュワン細胞のapoptosisを抑制できる、(6)軸索とのコンタクトにより非髄鞘形成未分化シュワン細胞の表現型の変化が生じ、細胞死が抑制される、(7)軸索とコンタクトしていない未分化シュワン細胞は正常の軸索を刺激して側副発芽を誘発し、神経ネットワークを混乱させうる、(8)軸索とコンタクトした未分化シュワン細胞は発芽を抑制し、神経束形成を促進する、事を明らかにしてきた。以上の知見より培養シュワン細胞を組み込んだハイブリット型人工神経の開発には培養シュワン細胞のapoptosisを抑制し、より長期観にわたりシュワン細胞柱構造が保たれる必要がある一方で、軸索再生の完了した部分では過剰な培養シュワン細胞が排除される必要があることが分かった。そこで、今年度はNFkB,NGFレセプターに対するantisense oligonucleotideを用い祖の過剰発現を抑制することでシュワン細胞構造を長期間維持することを試みた。一般的に用いられているphosphorothioate oligonucleotideでは、しかしながら、シュワン細胞への毒性が強くnon-antisense effectにより期待した結果は得られなかったが、毒性を落とした独自のantisense(詳細は公表を避けたい)により高い軸索誘導能を示すシュワン細胞柱構造をもつハイブリット型人工神経の構築を実現できた。
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