研究分担者 |
松田 尚樹 長崎大学, アイソトープセンター, 助教授 (00304973)
渡邉 正己 長崎大学, 薬学部, 教授 (20111768)
二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
小川 郁子 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (70136092)
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研究概要 |
天然歯と同様の歯根膜支持を有する歯科インプラントシステムの開発を目的として,本年度はまず,我々がすでに人工歯根材料に対しても結合組織性新付着形成能を有することを明らかにしている歯根膜由来培養細胞を生体に移植する際の,担体の選択や培養条件の設定などを検討し以下の結果を得た. 1. 歯根膜由来細胞移植のための坦体の検討:コラーゲン,アルギン酸,ポリ乳酸・ポリグリコール酸共重合体について,ゲル,膜,ビーズなどの種々の形状に調製し,歯根膜由来細胞の坦体としての有用性について検討したところ,歯根膜由来細胞の増殖能や分化程度には,同一の材質および形状内でも差異がみられた.次年度の移植実験にそなえて,移植細胞の高い細胞増殖率,分化能ならびに細胞・担体複合体の取り扱いやすさ等を総合すると,膜状のコラーゲン膜が担体として最も有用であると考えられたが,他の担体にも,賦形性,細胞遊走性などそれぞれの利点もあり,コラーゲンゲル,アルギン酸ゲルなどについても引き続き検討することとした. 2. 歯根膜由来細胞の分化増殖能促進のための条件に関する検討:歯根膜由来細胞の分化,増殖能を高めるために必要な添加物あるいはストレス負荷などの検討の結果,b-FGF添加により細胞増殖が促進されるとともに,dexamethasone添加や機械的ストレス負荷によって分化が促進され,これをEGFが抑制することが示された. 3. 担体・歯根膜由来細胞複合体の生体適合性に関する予備的検討:コラーゲン膜やポリ乳酸・ポリグリコール酸共重合体と歯根膜由来細胞との複合体を生体に移植し,移植体周囲に出現する炎症反応や異物反応を観察した結果,いずれも軽度の異物反応を示したものの,組織破壊を伴う高度の炎症反応は惹起せず,約1-2ヵ月で吸収が完了しこれらが人工歯根との複合体移植の系として応用可能であることが示された. 以上の結果をもとに,平成11年度に予定している人工歯根・歯根膜由来細胞複合系移植実験を行いたい.
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