研究分担者 |
工藤 保誠 広島大学, 歯学部, 助手 (50314753)
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助教授 (50169265)
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
松田 尚樹 長崎大学, アイソトープセンター, 助教授 (00304973)
渡邊 正己 長崎大学, 薬学部, 教授 (20111768)
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研究概要 |
天然歯と同様の歯根膜(PDL)による支持を備えた歯科インプラントシステム開発のための展開的研究として,PDL由来細胞と人工歯根との複合を検討した結果, 1.コラーゲン膜をキャリアーとする方法が最も簡便かつ確実で,細胞との親和性,細胞特性の保持ならびに操作性高いことが確認された. 2.予備的検討では,移植後1ヶ月目にはコラーゲン膜がほぼ完全に吸収されたにもかかわらず,骨内窩洞では移植6ヶ月目あるいは12ヶ月目でも残存し,同部におけるコラーゲン膜の代謝活性の低さが認識された.今後,骨内窩洞への培養PDL細胞移植にあたっては,コラーゲン膜の有する生物活性を保ったまま,重合度等を調節することによって,より吸収のはやい担体の開発が必要であることが示された. 3.膜の残存はあったものの,6ヶ月目以降では骨との界面にPDL様の結合組織が観察された.結合組織にはインプラント表面に対して垂直方向に配列線維束を示す部分もみられた.特に培養PDL由来細胞を移植したものでその傾向があった. 4.歯槽骨由来細胞移植例やインプラント単独埋入例で,骨との癒着がみられたのに対し,PDL由良細胞移植例では癒着はみられなかった. 本研究では,PDL由来細胞の複合的移植によりインプラント表面に機能的配列を示す線維束の挿入を伴う明らかなセメント質の添加は観察されず,PDL膜支持を有する次世代インプラントをすぐに実現させる結果は得られなかったが,本研究の成果が,今後の担体の改良やインプラントへの細胞複合法を検討するための有益な情報を与え,今後の歯科インプラント学の発展に大いになる礎となることが示された.
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