研究課題/領域番号 |
10557162
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
片倉 伸郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20185804)
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研究分担者 |
中島 美鈴 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (00262204)
中村 嘉男 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (09557143)
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キーワード | マウス / in vitro標本 / リズム活動 / 吸啜 / 顔面神経 / NMDA |
研究概要 |
光学的測定法の導入に先立ち、本年は同測定法に用いることのできる標本の開発を行った。実験には、ラットに比べて脳の小さいマウス(C57BL系)新生仔を用いた。 はじめに、NMDAの投与によってラットと同様に吸啜様リズム活動が誘発できるか否かを検討するために、(1)摘出脳幹-脊髄標本ならびに(2)末梢器官付き摘出脳幹標本(口腔顎顔面器官を神経連絡を保ったまま脳幹-脊髄とともに摘出した標本)をエーテル麻酔下で作成し、(1)では神経活動を、(2)では舌ならびに下顎の運動をそれぞれ観察した。(1)の標本でNMDAを潅流液中に投与すると、三叉神経・顔面神経・舌下神経にそれぞれリズミカルな神経活動が誘発された。さらに(2)の標本ではNMDAの投与によって吸啜運動に類似した舌ならびに下顎のリズミカルな運動が観察された。以上のことからマウス新生仔摘出脳幹標本でもNMDA投与によってラットと同様にリズミカルな吸啜様活動が誘発されることが確認された。そこで続いて、(1)の標本を用いて、三叉神経-顔面神経間ならびに顔面神経-舌下神経間で脳幹に前頭断を加え、三叉神経、顔面神経、舌下神経の運動ニューロンがそれぞれ別個に含まれる薄切標本を作製し、ガラス吸引電極を用いてそれぞれの神経から遠心性活動を記録した。NMDAを潅流液中に加えて投与すると、いずれの脳神経からもリズミカルな神経活動が記録された。このうち、顔面神経運動ニューロンを含む前頭断標本は切片の厚みが1000μmで、かつ比較的高い確率でNMDA投与によってリズム活動を誘発することが可能である。このように標本の厚みを薄くできることは、光学的測定法を用いる際に、透過光強度を高く保てる点から大きな利点となると考えられる。
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