研究課題/領域番号 |
10557168
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
玉澤 佳純 東北大学, 歯学部, 講師 (10124603)
安齋 順一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40159520)
江刺 正喜 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (20108468)
阿部 一彦 東北福祉大学, 感性福祉研究所, 助教授 (40151089)
阿部 昌子 東北大学, 歯学部, 助手 (30175905)
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キーワード | 微小カルシウム電極 / カルシウムイオン濃度 / 水素イオン濃度 / 臨界pH / 齲蝕誘発性 |
研究概要 |
微小水素イオン電極にFluka社のCaイオノフォアIIを含むPVC膜を直接被覆して作製したCaイオン感受性電界効果トランジスタ電極(微小Caイオン電極)では、イオノフォアの種類やPVC膜の厚さなどを変えていろいろ検討しても、pHの影響を受けにくくCaイオンに対する電位応答に優れている微小Caイオン電極はできなかった。 そこで、微小水素イオン電極の表面を被覆しているチッ化ケイ素膜(水素イオン反応膜)を除去し、かわりにパリレンCを蒸着させて水素イオンへの反応性を落とし、その上にPVC膜を被覆して微小Caイオン電極を作製した。この改良型電極を用いて種々の濃度のCaイオンを測定したところ、Caイオン濃度が1μmo1/Lから2mmo1/Lの範囲で直線的な電位応答が観察された。次に、種々の濃度のCa溶液のpHを変化させ、Caイオンに対するpHの影響を検討した。この結果、Caイオン濃度が高くなるにつれpHの影響が小さくなり、1mmo1/LではpHの影響はほとんど受けないことがわかった。口腔内はCaイオン濃度が高く(唾液中約1mmo1/L)、さらにCaイオン濃度の高い歯垢中で測定することから、pHの影響に関してはほぼ解決できたと考えられる。 ところで、最初に使用したチッ化ケイ素膜のCaイオン電極では、40mmo1/L以下のNaイオンの妨害はほとんど観察されなかった。しかし、改良型電極では、低濃度のNaイオン(10mmo1/L以下)により妨害された。安静時唾液には約8mmo1/L、刺激唾液には30mmo1/L程度のNaイオンが存在することを考慮すると、pHの影響を受けにくくCaイオンに対する電位応答に優れている性質を保ちつつ、さらにNaイオンの妨害を受けにくい電極の開発がつぎの課題となるであろう。 しかし、pHの影響を受けにくい微小Caイオン電極を作製できたことは、本研究において大きな第一歩を踏み出したといえるであろう。
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