研究課題/領域番号 |
10557174
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小松 久憲 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (30002182)
|
研究分担者 |
小林 洋一 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (80231322)
田中 享 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90179771)
川上 進 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20125305)
|
キーワード | 細菌同定臨床検査法 / 薬剤耐性 / 根管内滲出物 / PCR法 / DNA抽出 |
研究概要 |
現在まで、難治性感染根管を有する患者に対して複数回の細菌培養同定検査および検出菌の抗生物質感受性試験を行い、適切な抗生物質を選択・調合し、根管内に直接抗生物質を応用して、その治療効果を検討してきた。その結果、難治性感染根管治療では、抗生物質感受性試験は治療の長期化を防ぐためには不可欠な検査法であり、また、短期間で検査結果が得られることも臨床的に重要であることが明確になった。一方、本学卒業生(948名)を対象に歯内療法に関するアンケートを実施したが(回収率45.8%)、細菌簡易培養検査(S簡培)を行っている者は21.7%と少ないが、簡便な嫌気培養法が一般臨床で使用可能となれば今後使用を考えたいと回答した者は86.2%と多く、新しい細菌検出法の開発を進める環境が整っていると判断できた。 本研究では、根管内滲出物という微量試料からのグラム陽性・陰性菌のDNA抽出法を開発し、PCR法により原因菌を迅速に検出し、根管治療を行う上でより的確な診断の一助となる臨床検査の確立を目指してきた。より迅速な細菌検出法として細菌に共通の16SrDNAのユニバーサルプライマーによるPCR法での検出を検討した結果、細菌の有無について判定する事が可能となった。さらに、根管内滲出物の処理を可能な限り少なくしてPCR法が実施できる方法を模索し、根管内滲出物を試料としてそのまま用いるPCR法が可能となるように改善した。菌種の同定には、当初、全DNAを制限酵素を用いて切断したバンドパターンを比較したが、複雑になり過ぎるため、特定領域のDNAを検出・解析することで細菌同定を行うこととし、その可能性を確認することができた。今後,培養法で得られた細菌を分類し、PCR法に用いる特異的なプライマーを作製すれば、さらに迅速かつ的確な菌の検出が可能となると思われる。
|