研究分担者 |
池島 巌 鶴見大学, 歯学部, 助手 (50222865)
小澤 正明 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00204199)
平野 進 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (00089400)
岩井 博久 古河電気工業株式会社, メタル総合研究所, 研究員
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研究概要 |
形状記憶合金を応用した印象用トレーを試作し,人工歯顎模型(D15FE-500A,ニッシン)臼歯部の印象,石膏注入を行った石膏模型の引抜き強さを測定したところ,従来の既製トレーと比較してあきらかに引抜き強さの減少が認められた. そこで今後の臨床応用を想定し,繰り返し使用およびオートクレーブによる加熱が試作印象用トレーの復元量に及ぼす影響について検討した. 繰り返し使用による復元量の測定は,500回おきに5,000回まで行った.トレー幅をあらかじめ指圧により20mmに調整し,70℃の加熱処理後トレー幅をノギスにて測定した.トレーが記憶した位置に戻る量を復元量とした.その結果,使用前のトレー幅30mmと比較して,繰り返し使用500回では26.2mm,1,000回では25mmとわずかに復元量が減少する傾向を示したが,これ以降はほとんど変化が認められずほぼ一定の値であった. オートクレーブ使用では,トレーを132℃,20分間処理後,トレー幅を20mmに調整し70℃の加熱を行った後に復元量の測定を行った処理回数は100回とし,10回おきに復元量の測定を行った.その結果,トレー幅の変化は認められなかった. 繰り返し使用の初期に認められた復元量の減少は,塑性変形によるものと思われるが,オートクレーブ処理を行えばもとの復元量を回復できると考えられる.オートクレーブ処理で用いた約130℃の加熱温度は,NiTi合金の形状記憶の際に用いられる加熱処理温度と比較して著しく低いため,耐久性に問題はないものと思われる.
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