研究課題/領域番号 |
10557188
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤内 祝 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50172127)
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研究分担者 |
秋山 清次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40202551)
小林 猛 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10043324)
松井 正顕 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90013531)
林 康司 名古屋大学, 医学部, 講師 (10238131)
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キーワード | Interstitial Hyperthermia / Oral cancer / Magnetite Cationic Liposomes / VX-7tumor / Rabbit |
研究概要 |
磁性体を用いた磁場誘導組織内加温法であるImplant Heating System(IHS)は磁性体を腫瘍内に埋入し腫瘍組織内より加温する新しい組織内加温法である。しかしこの方法は、磁場に対する磁性体の方向により発熱量が低下し、また腫瘍内部に多数のインプラント磁性体を刺入するため外科的侵襲が大きかった.それゆえ頭頚部への応用は解剖学的に困難をきわめ、この問題を解決すべく磁性微粒子をリン脂質二重膜で被覆した微粉末磁性体Magnetite Cationic Liposomes(MCL)を開発し動物実験的に応用した. 第一段階として、パピローマウイルス由来の兎VX-7の細胞系を用いて舌腫瘍モデルを作製し、MCLを局所注入後磁場を照射し、照射中の組織内温度ならびに経時的に抗腫瘍効果について検討した. その結果、照射開始直後より腫瘍内温度は急激に上昇し目的温度(43℃)に達した.また照射中、その温度を維持することも可能であった.一方、抗腫瘍効果においても磁場を照射しない対照群に比し、照射群の腫瘍は有意に減少した.以上より、MCLを用いた組織内加温療法は頭頚部腫瘍の治療に有用であることが確認できた. 第二段階として、腫瘍組織のみをより選択的に加温すべく、経血管的に腫瘍組織内にMCLを集積させ加温することを試みた.まず兎総頚動脈より血管カテーテルを挿入し外頚動脈内へ走行させ、MCLを注入した.舌への移行は、注入後に軟X線の撮影と舌を摘出し腫瘍内のMCL濃度を測定することで確認した. その結果、MCLは腫瘍栄養血管が多く分布している腫瘍辺縁部に均一に分布し、また組織内濃度も加温に十分な量存在していた. 今後、この腫瘍にも磁場を照射することで腫瘍内の温度変化と抗腫瘍効果について確認する予定である.
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