研究概要 |
日本人口唇・口蓋裂(cleft lip with or without cleft palate,CL/P) 患者において HLA-B,-DRB1,-DPB1 の塩基配列レベルでのタイピングを行った。CL/P患者において,HLA-Bの対立遺伝子(アリール)のうちHLA-B*1501およびHLA-B*5101の2つのアリールが有意に増加していた。さらにこれらを男女別に解析したところ,HLA-B*1501は女性患者群のみに有意に増加している(OR= 3.6,Pc= 0.005)一方で,HLA-B*5101は男性患者群にのみ有意な増加を示した(OR= 3.7,Pc<0.002)。HLA-DRB1ではHLA-DRB1*0802がCL/P患者群で増加していた。これらとは対照的に,HLA-B*4403とHLA-DRB1*1302は患者集団で全くみられなかった(Pc= 0.004,Pc= 0.007)。また,HLA-DRB1ではHLA-DRB1*0401が患者集団で僅かに減少していたが,有意差を得られなかった。これらの結果から,HLA遺伝子あるいはその極近傍にCL/P発症に関与する何らかの因子が存在することが示唆された。
|