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1998 年度 実績報告書

機能性タキサン化合物の探索と分子設計

研究課題

研究課題/領域番号 10557204
研究機関北海道大学

研究代表者

小林 淳一  北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90221241)

研究分担者 津田 正史  北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10261322)
繁森 英幸  北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70202108)
キーワード日本産イチイ / 多剤耐性 / P-糖蛋白質 / チューブリン / 耐性克服物質 / 微小管脱重合阻害 / タキシニン
研究概要

癌化学療法において、癌細胞の耐性獲得機構の解明、および耐性克服薬の開発が急務となっている。微小管の脱重合を阻害する特異な作用機序を有するタキソールは、固形癌に有効な新しいタイプの抗癌剤として使用されている。しかしながら、癌細胞においてP-糖蛋白質の出現やチューブリンの構造変化といった耐性機構の発現により無効となってしまうことがわかってきた。そこで本研究では、微小管脱重合阻害活性を保持しながら、p-糖蛋白質やチューブリンによる耐性を克服できる化合物の開発を目的として、タキサン化合物をモデルとした構造活性相関により、微小管脱重合阻害作用をもちかつ多剤耐性克服能をもつ機能性タキサン化合物の開発を検討した。以下に本年度の研究成果の概要を報告する。
ヒト卵巣癌の多剤耐性発現株2780AD細胞を用いて、その細胞内の抗癌剤ビンクリスチンの蓄積増加量を指標としてスクリーニングを行った結果、日本産イチイTaxus cuspidataより新規タキサン化合物タキセゾピジンA〜HおよびJ〜Lを分離した。このうちのタキセゾピジンGおよびHならびに数種の既知タキサシ化合物に上記耐性発現細胞においてビンクリスチンの蓄積増強作用が認められ、その強さは既知のP-糖蛋白質機能阻害物質として知られるベラパミルとほぼ同等であった。また、以前に本イチイより単離したタキサスピンCに、マウスを用いたin vivoの実験で耐性克服能が認められた。一方、タキセゾピジンKおよびLには、タキソールの1/2〜1/3程度の微小管脱重合阻害活性が認められた。また、タキセゾピジンKの関連化合物タキサスピンDはウニ受精卵における紡錐体の異常形成を引き起こすことがわかった。一方、本イチイに含まれる主タキソイドのタキシニシを用いて、シンナモイル基およびベンゾイル基などのかさ高い官能基を導入した各種誘導体を合成し、多剤耐性癌細胞における抗癌剤蓄積増強作用を調べた。その結果、2位、5位および13位にかさ高い官能基を1つだけ持つ化合物が顕著な活性を示すことを見い出した。現在、微小管脱重合阻害活性をもち耐性克服能の強いタキサン化合物の分子設計を検討中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] H.Hosoyama: "Stereoselective epoxidation of4(20)-exomethylene in taxinine derivatives and assignment of the epoxide orientation by NMR" Tetrahedron. 54. 2521-2528 (1998)

  • [文献書誌] H.Hosoyama: "Occurrence of a new dimeric compound of 5-oxotaxinine A through Diels-Alder cycloaddition" Tetrahedron Lett.39. 2159-2162 (1998)

  • [文献書誌] X.-x.Wang: "Taxezopidines B-H,new taxoids from Japanese yew Taxus cuspidata" J.Nat.Prod.61. 474-479 (1998)

  • [文献書誌] J.Kobayashi: "Modulation of multidrug resistance by taxuspine C and other taxoids from Japanese yew" Bioorg.Med.Chem.Lett.8. 1555-1558 (1998)

  • [文献書誌] H.Shigemori: "Modulation of multidrug resistance in tumor cells by taxinine derivatives" Bioorg.Med.Chem.Lett.9. 389-394 (1999)

  • [文献書誌] H.Hosoyama: "Taxezopidines J,K,and L,new taxoids from Taxus cuspidata inhibiting Ca^<2+>-induced depolymerization of microtubules" Tetrahedron. 55. 2553-2558 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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