研究概要 |
従来確立したシクロペンタジエノン型およびシクロヘキサジエノン型キラル合成素子の活用の展開に加えてそれぞれに対応する新たなキラル合成素子の開発と活用を検討した. まず従来のキラル合成素子の活用の活用に関してはシクロペンタノイド素子からはBailis-Hillman反応を適用する活用法とルテニウム(II)-キラルジアミン触媒存在下の不斉水素移動反応を適用する新たな触媒的合成法を確立した.シクロヘキサノイド素子の活用に関してはconduritol A〜Fのすべてに到る集約的合成法の確立,多酸素化シクロヘキセンメタノール型天然物類の合成,モルヒネの200倍以上の活性をもつepibatidineの合成を達成した. 新たなキラル合成素子の開発については従来の熱分解による脱保護操作を要しない新たなシクロペンタノイドならびにシクロヘキサノイド型ジエン素子として機能する単位を創製してその機能性を開発しつつある.すなわち,前者に関してはポリ酸素化シクロヘキサノンのキラルアセトニド体を好収率,高光学純度で得てアセトニド1,3-ジオキソラン部による一方の面の遮蔽によってジアステレオ制御を容易にしている.一方,後者に関してはキラルジオキサビシクロオクタン型エノンを好収率かつ光学的に純粋に得る手法を確立し,この分子のもつカゴ型構造によってジアステレオ制御を行い,さらにジオキソラン部の変換によってシクロへキセノンへの変換を行っている.
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