M細胞はビタミンCを添加して培養を継続すると、コラーゲン線維を形成する。この性質に注目して、機能性物質探索方法の実用化並びにそれを利用した機能性物質の天然よりの単離を目的とした。 クマツヅラ科植物ヤエヤマハマクサギから各種クロマトグラフィーで精製を繰り返し、コラーゲン線維ネットワークを精密化する活性成分を薄層クロマトグラフィー上単一になるまで精製した。各種スペクトル解析の結果フェニルエタノイドであるアクテオシドであった。本物質は多くの薬理活性試験において活性を示し大変興味深い。活性構造相関を検討し、マルティノシドには活性のないこと、またアクテオシドの部分構造にも活性のないことが確認され、活性発現には二つのカテコール部位が必要であると結論された。 ウリノキ科植物モミジウリノキの葉部の酢酸エチル可溶分画に強いコラーゲン線維形成阻害活性の有ることを見いだし、活性成分を単離した。スペクトルを解析した結果、フラボンににフェニルグリセロールが結合していた。結合位置は水素の核磁気共鳴スペクトルからC環であると結論されたが、結合の様式はHMBCスペクトルでも判断できなかった。そこで、NOEスペクトルで最終構造を確定した。本物質は濃度2μg/mlで十分な抑制活性を示した。数種のフラボンの活性を検討したところ、カテコール部位を有する化合物に阻害活性が見られた。しかし、本物質にはカテコール部位は存在するものの、それはフェニルグリセロールの2級ジオール部とエーテル結合して環を形成しており、今後この点に関して考察が待たれる。 以上、コラーゲン産生細胞を用いて、その線維の細網化を行う化合物とその産生を阻害する物質を単離し、本方法が実用に耐えうるものと判断した。
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