研究課題/領域番号 |
10557210
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60142296)
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研究分担者 |
木村 徹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70204980)
藤原 洋一 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60199396)
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キーワード | 固相合成 / Heck反応 / 分子内環化反応 / RGD誘導体 / コンビナトリアル合成 |
研究概要 |
本研究では固相担体上で効率的に進行する炭素-炭素結合形成反応を開発し、コンビナトリアル合成へと展開することを目的とした。この際、固相担体上で行なうのに適した反応のタイプとして、分子内環化反応を採用した。また、炭素-炭素結合形成反応として、Heck反応やWittig反応を利用するオレフィン形成反応を採用した。以上の基本方針に従い、本研究では固相担体上での環状RGD誘導体類の効率的合成を行なった。得られるRGD構造(Arg-Gly-Asp配列)は活性化された血小板上に現れるレセプターに対する最小認識構造であり、この構造を持った各種化合物をコンビナトリアル合成により調製することにより選択的アンタゴニスドの探索を行なう計画である。 1. 固相Heck反応による分子内環化反応の確立 まず、環化前駆体となる直鎖状RGD誘導体を固相担体上に構築した。この際、分子内環化反応をHeck反応で行なえるように、この直鎖状前駆体のC末端にはヨードベンジルアミン構造を、N末端にはアクリル酸構造を組み入れた。ついで、この直鎖状前駆体が固相担体上に固定された状態でHeck反応による環化反応を行なった。最後に、樹脂からの環化体の切断を行ない生成物を単離・精製した。精製品の各種スペクトルによる目的物の同定を行ない、目的とする反応が効率よく固相担体上で進行したことを確認した。 2. 固相上分子内環化反応と液相反応との比較検討 つぎに、固相上環化反応の有効性を検討するため、直鎖状前駆体を樹脂から切断した後、液相中で環化反応を行なった場合と固相上反応との反応効率の比較をHPLCを用いて行なった。その結果、分子内環化反応が通常の液相中よりも固相担体上の方が効率良く進行することがわかった。これは樹脂担体に由来する疑似希釈効果によるものと考えられる。
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