研究概要 |
1.自動ニトロアレーン(NPAH)分析計の開発:これまでの基礎検討結果に基づいて,化学発光検出HPLCに,クリーンアップカラム,Pt/Rhカラム及び濃縮カラム装着流路切換えバルブを導入した自動NPAH分析システムを完成した.これにより,大気浮遊粉塵のベンゼン/エタノール抽出物中の1,3-,1,6-,1,8-ジニトロピレン(DNP)及び1-ニトロピレン(NP)等を簡単な前処理で連続定量分析可能とした.2.金沢,富山及びウラジオストクの都市大気中NPAHの比較:3都市の大気粉塵を季節毎に同時連続捕集しNPAH分析した結果,1,3-,1,6-,1,8-DNP,1-NPは,金沢と同様に他の2都市とも冬高夏低を呈し,主要排出源は自動車であった.2-NPは金沢と同様に他の2都市とも夏高冬低を呈し,大気中二次生成することがわかった.更に,これまで挙動が不明であった6-ニトロクリセン,6-ニトロベンツ[a]アントラセン,7-ニトロベンゾ[a]ピレンについて金沢の大気で解析した結果,多交通量地点では冬高夏低,少交通量地点ではこれと異なる季節変動を呈することを明らかにした.また,これまで実態が不明だったウラジオストクは高濃度で,NPAHと推定される多成分が観察されることから,自動車以外の寄与も大きいと推定された.3.単気筒ディーゼル機関の運転条件とDEP排出特性:異なる負荷条件,燃焼効率で運転したディーゼル内燃機関からのDEPをソックスレー抽出して可溶性画分(SOF)を得て,多環芳香族炭化水素(PAH),NPAHを分析した結果,DEP排出量とSOF/DEP比,PAHとNPAHの排出量,直接変異原性のいずれも負荷に依存して増加することを明らかにした.軽油にジメチルカルボネート5%を添加しても,これらの値に顕著な変化は見られなかった.4.DEPの内分泌撹乱作用:ヒト培養細胞を用いて調べた結果,DEP抽出物に抗エストロゲン作用並びに抗アンドロゲン作用があり,それらの作用の一部はPAHに由来することを発見した.
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