研究課題/領域番号 |
10557217
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永沼 章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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研究分担者 |
西山 省二 明治製薬株式会社, 薬品総合研究所, 主席研究員
三浦 伸彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20229644)
宮入 伸一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50209855)
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キーワード | メタロチオネイン / 痙攣 / PTZ-17 / ペンチレンテトラゾール / 遺伝子欠損細胞 / NM31 |
研究概要 |
メタロチオネイン(MT)遺伝子欠損細胞(肝伊東細胞由来)では発現が認められず、正常細胞(MT分子種の1および2を正常に発現している)でのみ高発現している遺伝子(NM31)が存在することを世界に先駆けて見いだした。NM31mRNAの発現はMT欠損細胞にMT-1およびMT-2遺伝子を導入すると正常細胞と同様に観察されるようになり、さらに、脳に特異的な分子種であるMT-3遺伝子を導入した際にもその発現が認められる。このようなことから、NM31の発現にはMT-1〜3の全ての分子種が何らかの形で関与するものと思われる。MTは亜鉛などの重金属によってその合成が誘導されることが知られているので、NM31mRNAレベルに対する亜鉛の影響を検討したところ、亜鉛処理によって正常細胞のMT濃度は顕著に上昇したもののNM31mRNAレベルはほとんど変動が認められなかった。この結果から、NM31の発現には正常レベルのMTが存在すれば充分であると思われる。NM31はペンチレンテトラゾールによって誘発される痙攣発症に関与する遺伝子として同定・報告されているPTZ-17と同一であり、ヒトやマウスの脳で特異的に高い発現が認められている。そこで次に、PTZ-17の細胞毒性に対するMT有無の影響を検討した。その結果、PTZ-17処理をした際の細胞増殖率にはMT欠損細胞および正常細胞との間に有意な差は認められなかった。このことから、NM31の発現の有無は少なくともPTZ-17の細胞毒性には影響を与えないものと考えられ、PTZ-17誘発性の痙れんにはNM31は直接は関与しない可能性が示唆された。
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